2号機「とてつもない事故」寸前だった 作業員に「ここから出るのは止めません」

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東電社長「現場から撤退したい」

   2号機原子炉の爆発危機を前に、原発事故の関係者には動揺が走った。

   事故対応の現場責任者だった第1原発の吉田昌郎所長は、シミュレーション結果を聞いて、黙り込んでしまう。そして、NHKの番組によると、免震棟の廊下で休む作業員に声をかけ、「皆さんがここから出るのは止めません」とまで言い切った。

   結局、2011年3月14日は、東京電力の社員ら70人を残して、200人以上が原発を去った。さらに、東電の清水正孝社長は、「現場から撤退したい」と政府に5回も電話で伝えている。

   これに対し、菅直人首相は翌15日早朝、東電本店に乗り込んで、「お前らふざけるな」とケンカ腰で言ったというのだ。そして、「撤退は許されない。60歳以上の人間は現場に行って、自分たちでやる覚悟を持て」とまくし立てた。一部報道では、菅首相は、撤退するなら東電の存続は認めないと激怒したとされていたが、これは本当だったようだ。官邸はこの日、東電本店に統合対策本部を設置している。

   東電の撤退要望について、前出の原子炉専門家は、ある程度の理解を示す。

「とてつもない事故になりかねませんので、現場にいた人からすれば、『留まりたくない』と思っても不思議ではないと思います」

   また、菅首相の激怒についても、「甚大な被害をもたらす可能性を考えれば、国が『逃げるな』と制しても不思議ではないでしょう」と言う。

   2号機は翌日の15日朝、格納容器の一部である圧力抑制室が損傷した。圧力抑制室は原子炉内の圧力を調節するための装置。逆にこの破損によって、最悪の事態には至らなかったのかもしれない。

   別のテレビインタビューで、吉田所長は、大量の汚染水という課題はあるものの、現時点では、1~3号機とも原子炉は冷えて安定しているとの見方を示している。

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