茨城県北茨城市は2011年夏、市唯一の海水浴場「磯原二ツ島海水浴場」を閉じることを決めた。震災復旧が間に合わず、また余震などの可能性もあって「海水浴客の安全が確保できない」と判断したためだ。震災の被害を受けた千葉県旭市、山武市でも、今夏海水浴場の開設断念、一部閉鎖を決定した。
被害の少なかった自治体も7月の海開きに向けて復旧作業や海水の放射線検査などに追われている。
海水浴場にがれき散乱
茨城県には18、千葉県には67(うち太平洋側は46)の海水浴場がある。このうち、茨城の1か所と、千葉の2か所が、2011年6月6日までに開設断念を決めた。
「磯原二ツ島海水浴場」では津波によって、海岸や海中にがれきが散乱した状態となっている。また海水浴場に面した「二ツ島」の岩壁が崩落するおそれもあり、やむなく開設を断念した。
旭市は5月19日、「飯岡海水浴場」と「矢指ヶ浦海水浴場」の開場中止を発表した。沖合に設置された消波ブロック(テトラポッド)が、津波で浜辺近くにまで押し流されてしまったためだ。5トン近いブロックの移動にはかなりの時間がかかる見通し。トイレなどの施設も全壊状態だという。
山武市は「白幡・井之内海水浴場」の一部を、この夏は開放しない。やはり津波による防潮堤の破損が原因だ。こちらも復旧の目処は立っていない。
茨城、千葉県では海水の放射線検査実施
開設の方針を決めた各自治体でも、海開きを前に慎重な調査を続けている。焦点となっているのが、海水の放射能汚染への懸念だ。
千葉県では18日、県内4か所の海水の放射線検査の結果を公表。放射性物質は検出されなかったが、6月中にも改めて海水浴場がある18市町村で、実際に海水浴客が立ち入る水深1~1.5mでの検査を行うという。茨城県でも県民、そして各自治体からの要望に応え、6月中頃、同様の検査を実施する予定だ。ただ海水浴場開設の可否は市町村に委ねられているため、両県ともに万が一放射性物質が検出された場合でも、あくまで参考としての提示に留めるという。
市町村による独自検査の動きも広がっている。千葉県では鋸南町、南房総市、館山市、鴨川市、一宮町などがすでにモニタリング結果を公表、いずれも放射性物質は検出されなかった。山武市などでも、現在検査を進めている。