奈良からタクシーでなぜ神戸空港を目指したのか
震災発生後の清水社長の行動は、様々な汚点を残した。清水社長は奈良からタクシーで神戸空港を目指したと伝えられているが、このルートも不可解だ。なぜ最寄りの関西国際空港や伊丹空港から帰京せず、最も遠い神戸空港に向かったのか。
結果的に清水社長は愛知県の航空自衛隊小牧基地から輸送機で東京の東電本店に戻ろうとしたが、離陸直後に「被災地救援を優先すべきだ」との防衛省の指示で輸送機が途中で引き返したため、その日は帰京できなかったのは周知の事実。翌12日午前に民間のヘリコプターで東京に戻り、初期対応の悪さの一例として国会などでも問題にされた。
電力会社は原発事故など有事に備えてヘリコプターを保有している。それなら、清水社長は関西電力のヘリで帰京することだって可能ではなかったか。もしも、そうしていたのなら、福島第1原発のベントや海水投入など、社長判断でもっとスムーズに危機管理ができていたのではないか。しかし、関電にヘリを要請した事実はない。そもそも、関電は当時、東電社長の関西入り自体、知らされていなかったという。
清水社長の奈良行きに限らず、東電の「隠ぺい体質」は目立つ。事故調査委員会などでの徹底した真相解明が必要だろう。