AKB48の前田敦子さんが主演をつとめる映画「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」が早くも失速の兆しを見せている。映画館によっては客席が全然埋まらないところもある。
「もしドラ」は岩崎夏海さんによる原作が2009年に発売。経営学者ピーター・ドラッカーの思想を女子高生が高校の野球部で実践するという内容で、ビジネスマンを中心に大ヒットし、2011年4月にはNHKでアニメ化もされた。
280席用意しても埋まるのは最大2割
映画版は主役、「川島みなみ」を前田さんが担当。同じAKBメンバー峯岸みなみさんも出演している。
連日テレビCMが流れるなど、かなり積極的にPRしていたが、2011年6月4日、封切られてみると客入りは微妙だという。
ネット上には、映画館で観てきたという人の報告が続々と寄せられていて、「川崎でもしドラがガラガラな件」「300席ある映画館でオタク客が10人だけ」といった書き込みがあった。
実際かなり厳しいようだ。「大ヒットという感じではないが、そこそこ入っている」というところもあるものの、首都圏のとある映画館は「あれだけ宣伝していた割に客席が埋まらない。初週でこれは厳しい」と話す。280席の最も大きい部屋を用意しても、最大で2割くらいしか客席が埋まらないという。
「入場券でAKB総選挙に投票できるようにすればいい」
また同日、北川景子さんと、向井理さんが出演する「パラダイス・キス」が公開された。女性に人気のある漫画家、矢沢あいさん原作で、映画館によっては「もしドラ」よりもこっちの方が人気なのだという。「『パラダイス・キス』は女性に人気があるので、レディースデーにも伸びが期待できるが、『もしドラ』は厳しい」(神奈川の映画館)
映画評論家・翻訳家の柳下毅一郎さんも自身のブログに6月5日付けで、「もしドラ」を初日に見に行ったが、「ガラガラ」だったといい、「国民的アイドルだというAKB48のファンはどこにいるのだ!?」という文章を書いている。映画の入場券の半券でAKB総選挙に投票できるようにすればよかったのではないかと問題提起し、「その意味で、まだまだこの映画作者たちは顧客のことを考え抜いていないと思わずにはいられない。ちゃんとドラッカーに学んでいるのか?」。映画自体については、野球チームが強くなっていく過程に「まったくドラッカーが関与してない」という点が気になったとしている。