「大連立」という名の「菅降ろし」が急加速してきた。菅直人首相の早期辞任を前提とし、民主党と自民党が大連立を組み協力するというシナリオだ。政策の違いが大きいのに、はたして実現できるのか。
2011年6月6日、枝野幸男・官房長官は、「菅首相の早期退陣後の大連立」の動きについて、震災対応に「スピード感」が必要なため、「国会で幅広く協力頂ける態勢が望ましい」と前向きな姿勢を示した。
岡田幹事長「期限とテーマ決めて」
6月5日には、民主・岡田克也、自民・石原伸晃の両幹事長が、NHK番組でともに大連立をめざす意向を示した。岡田氏は「期限とテーマを決めて」、石原氏は「閣内、閣外、いろんな協力がある」「(6)月内に(菅首相は)辞めて新代表と話を」と述べた。一方、公明党の井上義久幹事長は、「(大連立は)言うは易し、行うは難しだ」と慎重姿勢を示した。
菅首相が2012年1月ごろまでの居座りを示唆した、との受け止めが広がる中、「早急に6月退陣を」と迫る声は、民主党内で鳩山由紀夫・前首相を筆頭に激しさを増している。自民が「大連立」を掲げ「6月退陣」を要求することは、民主党内の菅降ろしの背中を強く押す形となる。
「大連立」は、連立政権の形の中でも特に、第1党と第2党が組むことをさす。政策協定を結ぶのが一般的だ。「現代用語の基礎知識」(自由国民社)などによると、大連立に限らず連立の組み方には(第2党以下が大臣を出す)閣内協力と(大臣を出さない)閣外協力がある。
理屈の上では「閣外協力の大連立」もあり得るわけだが、大連立の「語感」としては、閣内協力を連想させるようで、石原幹事長は別の番組で「大連立と閣外協力のふたつが(選択肢として)ある」とも述べている。