エサは昨年採れた草や、海外から輸入したものを使っている
だが、宮城県や栃木県で牧草から高濃度の放射性物質が検出されると、今度は「乳牛のエサや水は大丈夫か」との心配が出始めた。5月25日には福島県飯館村の原乳も出荷制限が解除され、「計画的避難区域」に指定されている同村の酪農家が牛を連れて村外に移動すると、村の放射性物質の濃度が高いこともあってか、乳牛自体へ「疑いの目」を向ける人も現れる。
これらについて中央酪農会議に聞いたところ、「牛のエサは昨年採れた草や、海外から輸入したものを使っており、現在生えている牧草はエサとして使用していません」と説明する。農林水産省からは3月19日、放牧の自粛を要請する通知が出されており、現在も建物の中で牛の飼育が続いているので、放牧地で牧草を食べることはないはずだ。さらに、「原乳が、食品衛生法上の暫定規制値を上回らないようにするために牧草にも『基準』を設けている」とし、水についても「井戸水や水道水など住民が飲むものと同じものを牛に与えており、高濃度の放射性物質が検出された水を飲ませているわけではない」と話す。
飯館村から避難した牛については、「検査して問題なかった牛だけが他地域への移動を許されている」という。原乳生産者として、国の指示に基づいたモニタリングは継続しており、「だからこそ、出荷制限が出た際には酪農家が搾乳後に廃棄していたのです」と、きちんとルールを守っている点を強調する。
とはいえ、なかなか消えない風評に、生産者としても頭が痛いところだ。