「荒茶は半製品で消費者が口にすることはない」
厚生労働省は荒茶、煎茶をふくめ、流通するお茶は一律に500ベクレルを適用すべきだと主張。これだと、生茶葉が500ベクレル以下でも、荒茶や 煎茶で500ベクレルを超えるケースが続出する恐れがある。
一方、茶葉を使って煎じたお茶に溶け出すセシウムはどの程度か、静岡県が調べたところ、濃度は約4~9ベクレルと生茶の約10分の1~20分の1 に減った。このため、同県は、規制は生茶葉(500ベクレル)と飲用茶(200ベクレル)だけで十分として、荒茶や煎茶の500ベクレル規制に反 対。「このままでは茶の生産がストップする」と訴え、生産者を管轄する農水省も、「荒茶は消費者が直接口にするものではない」と主張。厚労省と農 水省が対立する構図になっていた。
しかし、一部の荒茶が抹茶アイスなどの加工食品に使用されていることなどから、厚労省の主張通り、荒茶や製茶も同じ500ベクレルで規制すること になった。
この結論は、生産者にはショック。出荷自粛で一番茶は捨てたという神奈川県内のある生産農家は「二番茶に期待していたが、お先真っ暗」と途方にくれている。静岡県の川勝平太知事は、政府の「荒茶も規制」の方針決定に対し、2日夜、「荒茶は半製品で消費者が口にすることはない」などとして、荒茶の検査を実施しない考えを表明し、国に反旗を翻した。国と産地の対立はなお尾を引きそうだ。