民主党は歴史的役割終え、存在意義失っている/不信任案に賛成 横粂勝仁・衆院議員に聞く

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   民主党の29歳1年生議員、横粂勝仁・衆院議員が、内閣不信任決議案に賛成した。案提出に先立ち、離党届けを出し、保留状態になっていた。菅政権に対してだけでなく、一気に民主党にNOを突きつけた形だ。

   なぜ民主党を見切ったのか、これから何をしようと考えているのか。小泉純一郎・元首相の次男、進次郎衆院議員(自民)と同一選挙区という点でも注目されてきた新人議員の横粂氏に話を聞いた。

当初はメールの7割「議員辞めろ」

「ブログで思いを書くより話す方が得意です」と語る横粂勝仁・衆院議員
「ブログで思いを書くより話す方が得意です」と語る横粂勝仁・衆院議員

――離党届け提出の反応は。

横粂   当初、約1000件届いたメールのうち、700件は「議員を辞めろ」でした。しかしその後、「おかげで政治に興味をもつようになった」などの支援の声が増え、最近来るメールでは、支援と批判が五分五分に近くなっています。
   支持者の方への報告会では、厳しい声と応援とが半々でした。厳しい指摘をされた方の多くからは、帰り際に「応援してるから厳しいことを言うんだぞ」と声をかけて頂きました。

――比例復活で当選した議員が離党するのはおかしい、議員辞職して出直すのが筋だ、という指摘もあります。どう受け止めますか。

横粂   政治的、道義的に責任はあると思っています。ご批判は当然で、重く受け止めています。しかし、震災による危機、さらには震災対応の不全が浮き彫りにした日本の政治の危機を目の前にして、今私がやるべきことは、議席をお返しすることなのでしょうか。いえ、この危機を克服する新しい道筋を訴える議員として、この重たい一議席を日本のために使わせて頂くことが恩返しになる、恩返しさせて頂きたい、と考えています。

――震災対応への批判について、菅首相NOにとどまらず民主党離党にまで踏み込んだのはなぜですか。


横粂   まず、私が問題を見いだしたのは、既存政党すべてに対してです。例えば、「しばらく経って横粂が『みんなの党』に入党」などということは、民主復党も含めあり得ません。また、小沢(一郎・元民主党代表)先生グループによる「菅降ろし」の動きとも無縁です。
   また、民主党関係者の方にお世話になった、それは重く受け止めありがたく思っています。しかし、その上であえて言わせて頂ければ、民主党はすでに歴史的役割を終え、存在意義を失っているのです。

12年間で「大統領制」実現したい

――民主党が役割を終えた、とはどういうことですか。

横粂   日本は、自民長期政権(それもかつて存在意義があったが、膿が出てきて弊害の方が大きくなりました)から政権交代を経験する必要がありました。民主党が2009年の衆院選で政権交代は可能なのだ、と示したことはとても大きな意義があります。
   しかし、その政権交代のために、民主党は外交や憲法に対する姿勢など議員間の基本政策の違いには目をつぶってきました。その段階では仕方なかったと思います。では、政権交代を実現した今、そして将来、このまま基本政策がバラバラな議員たちが、「党議拘束」に従っていやいや自分が考える信念とは違う党の結論に従って採決への賛否を決める、そんな状態を続けていいのでしょうか。こうした状況は民主党だけにとどまりません。
   例えば、支持者の方々の声をきいた上で自分は反対だ、と考えても、「党の指示だから」と賛成する、そんな国会議員で本当に良いのでしょうか。支持者の方々への責任を果たしていると言えるのでしょうか。私はこんな国会議員像も変えるべきだと考えます。

――では、政党のあり方や国会議員像をどう変えていこうというのですか。

横粂   例えば、私を総理首班指名してくれる人たちとのネットワークを模索します。1年生議員が何を言うか、と笑われるだけかもしれません。自分が未熟で実績がないことも重々承知しています。それでも私は本気です。
   そのネットワークは、新党の形をとるのかは分かりません。たとえ新党だとしても、党議拘束で議員をがんじがらめにするような形は考えていません。軸となる大きな基本政策以外は緩やかな連携で良いと思っています。
   選挙対策ではなく、政策で集う集団による政治に変えていくのです。政治家が党の陰に隠れるのではなく、一議員として有権者の声に真正面から自分の責任において向き合う、そんな国会議員に変えるきっかけにしたいのです。そんな議員が増えれば、震災対応ももっと迅速に、もっと柔軟に進むのではないでしょうか。
   私が初当選した09年から12年間のうちに(これは首長の3期の任期をイメージした数字です)、私は「日本的大統領制」(天皇陛下から認証を受ける大統領)を実現させたいと考え、ブログなどで訴えています。これは、私がいう「北極星外交」を実現し、「誇り高き日本を取り戻す」ためです。

小泉ジュニアへの思い

――北極星外交とは何ですか。

横粂   北極星外交とは、小さくてもキラリと光り、天空の動きの中心となるような役割を日本が果たしていこう、というものです。米中などと渡り合う力を日本はもっているのに、いまだに米国一辺倒の外交を続け、国益を損なっています。日本のすごさをもっと押し出すべきです。
   また国内的には、道州制を導入し、地方分権を徹底します。福祉などは地域密着型で現地の有能な首長さんたちに工夫してもらうことで向上を目指す形が良いと考えています。税源問題を含め、国と地方の役割分担を明確化すべきです。
   大統領制導入などは憲法改正が必要になってくるので、困難な道であることは間違いありません。正直、12年間では実現が厳しい可能性もあり、最長16年間も視野に入れています。しかし、いつまでもずるずると引き延ばす気はありません。16年やって実現できなかった人は、30年やっても無理です。後任にバトンタッチすべきです。

――同じ選挙区の小泉進次郎議員について、どう見ていますか。

横粂   努力もしているし、「才能・能力高き方」だな、と。今は、活動が私より評価されていると思いますが、ひょっとしたら将来、2人が新しい党の党首として論戦している、そんなライバルになれたら良いな、とも思っています。
   負けるつもりはありませんが、必ずしも「敵」だと思っているわけではありません。2人が同じ新しい党・グループに所属し、活動をともにしている可能性だってあるかもしれません。
   いずれにせよ、私は、「日本をいい国にしたい」「議員や政党のあり方を変えるきっかけをつくりたい」との思いで議員を続けさせて頂きたいと考えています。政局が慌ただしくなっていますが、被災地のことを忘れず行動していきます。

<横粂勝仁さん プロフィール>
よこくめ かつひと 1981年生まれ。2009年に衆院初当選(神奈川11区から民主党公認候補として立候補。小泉進次郎氏に敗れ、比例復活当選)。東京大学卒業後、司法試験に合格し弁護士に。司法試験合格後、人気恋愛バラエティ番組「あいのり」(フジテレビ系)に出演、「総理」のニックネームで知られた。
現在、1期目。民主党内の派閥グループには属さず、1期目ながら執行部へ「苦言」を呈するなど、マスコミの注目を集める。2011年5月20日、岡田克也幹事長に離党届けを出し、慰留を受けていた。


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