東日本大震災で壊滅的な被害を受け、全線復旧のめどがたたない第三セクターの三陸鉄道に、支援の輪が少しずつ広がっている。中には、きっぷを一度に1000枚購入して支援する人も登場。通信販売の売り上げも急上昇しているという。
三陸鉄道は、震災で線路や駅が流されるなど、壊滅的な被害を受けている。だが、「地域の足」として定着していることもあって、震災からわずか5日後の2011年3月16日には一部区間で運行を再開。3月中は乗客から運賃を徴収しなかった。4月に入ってから有料に戻ったが、割引運賃での運行が続いている。
全線復旧には100億~180億円が必要
だが、全線復旧のためには、工事の方法にもよるが、100億~180億円が必要だとされている。赤字経営の同社が捻出するのは事実上不可能で、国や周辺自治体の支援を求めている。
そんな中、全国からの支援が急増している。例えば、鉄道関係の著作が多いことでも知られている原武史・明治学院大学教授(48)は4月27日、三陸鉄道の本社がある宮古市を訪問。現時点で開通ししている宮古-小本のきっぷを往路・復路500枚ずつ、計1000枚を購入した。同区間は片道600円なので、事実上60万円を寄付した計算だ。三陸鉄道の旅客サービス部によると、1000枚という数は現時点での最多記録だが、「500枚、300枚と買っていく人はいる」という。
クリアファイルなどの通信販売も伸びる
特に震災以降売上げが伸びているのが、通信販売だ。不通区間の駅を含む「硬券(こうけん、厚紙で作られた乗車券)」の人気が上昇しているほか、オンラインショップでも、エコバッグや、オリジナルキャラの「久慈ありす」や「釜石まな」を描いたクリアファイルが品薄になっている。「5万~10万円といった額を買っていく人も多い」(同)という。
また、おもちゃメーカーのトミーテックからは、三陸鉄道の制服を着たフィギュアの発売も決まっており、売り上げの一部は三陸鉄道に寄付される。
三陸鉄道では寄付金を受け付ける窓口こそ設けていないものの、物を買うことでの支援を呼びかけている。