救急救命士が休日に救命処置 「停職6か月は厳し過ぎる」の声

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関係者は、制度上の欠陥を指摘

   厳し過ぎるとの声について、石岡市消防本部では、「法を守るのが公務員ですし、管理職ということも考えれば、それなりの処罰が必要と考えています」(広報担当者)と言う。困っている人を助けたいなら、止血などの応急処置に留めるべきだったとしている。

   とはいえ、医師や看護師なら、勤務時間外でも医療行為をすることができる。救急救命士は、救急車の中で医療行為をと生まれたものなのに、なぜ勤務時間外はそれができないのか。命の危険がある人を前に、なぜ免許を生かしてはいけないのか。

   そこには、そもそも制度上の問題があるようなのだ。帝京平成大学講師でもある日本救急救命士協会の鈴木哲司会長は、こう指摘する。

「アメリカなどでは、救急救命士は救急車以外でも医療行為ができます。しかし、日本では、勤務時間外には免許を生かすことはできない。なぜならば、法律により救急車内でしか業を行ってはならないという場所制限があります」

   鈴木さんは、今回の救急救命士の男性について、「注射針などの消防機関の備品を外部に持ち出したのはよくない。また、意識のある傷病者への静脈路確保は、救急救命士法違反である」と言う。そのうえで、「現行法では心肺機能停止傷病にしか行えない環境にあるが、意識のある傷病者への静脈路が確保しやすいのは確かである」としている。

   免許があっても消防機関に属さないと、それが役に立たない問題もある。救急救命士の免許保持者は、4万1000人余いるが、消防署員ではない残りの1万人余が資格を生かせていないという。日本における、救急救命士の業務は消防機関による官業独占であり、市場開放が進んでいないからだ。

   鈴木さんは、「民間における救急救命士の活用するシステムが存在しないがために、今回の大震災のときにも、こうした貴重な人材が活用できませんでした。そんな歪んだ救急救命士制度を正すためには、規制・制度緩和を図り構造改革を推進し新しい枠組みをつくるべきです。救急救命士制度は、もはや制度疲労を起こしています」と話している。

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