作業員の士気支えているのは吉田所長 「辞めることあってはならぬ」と産業医

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   東京電力福島第1原発と第2原発で非常勤産業医を務めている愛媛大学大学院教授の谷川武医師(49)=公衆衛生学=が2011年6月1日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見を開いた。震災後も2度にわたって現地で作業員を診察した谷川氏は「疲労はヒューマンエラーにつながる」として、作業員の衛生環境の向上を訴えた。

   また、東電本社の指示に反して海水の注水を続けた福島第1原発の吉田昌郎所長の処分が取りざたされていることについて、「辞めることは絶対にあってはならない」と述べた。

「彼だからついていく」という人が危機的状況の後も残った

新聞記事を手に「吉田所長が辞めることは絶対にあってはならない」と訴えた
新聞記事を手に「吉田所長が辞めることは絶対にあってはならない」と訴えた

   谷川氏は4月に続いて、5月6日~9日に現地で東電社員を診察。「衛生状態は、予想よりも悪かった」という。

   事故後10日間にわたって風呂に入れない状態が続いている上、第1原発の作業員の大半が20キロ圏内に自宅があり、帰宅できない状態が続いている。その上、休日を過ごす避難所でも、東電社員という立場から、他の被災者から激しい非難を受けるケースもあるという。

   谷川氏は、吉田所長の存在が、厳しい状況に置かれている作業員の士気を支えているとの見方をしている。谷川氏は、5月27日の朝日新聞朝刊1面トップの「海水注入 実は継続 福島第1所長独断 報告せず」と題した記事を読み上げながら、

「この記事は、非常に現場の職員の方々に対して衝撃的。『今、吉田所長に辞めてもらったら困る』と言われている。これは、事故の報告を(本社に)しなかったことが問題だということだが、彼が今、福島第1を辞めることは、絶対にあってはならないと、私は個人的に思う」

と訴えた。会見後にも、

「彼のたぐいまれなるリーダーシップはすでに報道されているが、『彼だからついていく』という人が危機的な状況の後も(現場に)残った。やはり、モラルの問題。ずっと(現場作業を)続けていく時に、『吉田さんのもとで頑張ろう』というのが、ほとんどの方の気持ちだ」

と語った。

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