東証と大証統合協議どうなった 報道から3か月たっても前進なし

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   東京、大阪の両証券取引所が経営統合の協議に入ることが2011年3月に表面化してから3か月近く経つ。しかし、直後に発生した東日本大震災の影響もあり、当初の想定通りには協議が進んでいない。

   ハードルは東証が上場する方針をなお捨てていないこと。統合後の主導権争いも絡み、関係者からは「統合できるかどうかは五分五分」との声があがる。

大証社長「3か月以内に基本合意までいきたい」

   まず表面化の経緯を振り返ろう。日本経済新聞が3月10日の朝刊で「統合協議へ」との派手な見出しで「来年秋の統合を目指す」という協議開始を報じた。各メディアが確認を急いだところ、10日午前に東証の斉藤惇社長は「交渉したい」、大証の米田道生社長も「やるなら3か月以内に基本合意までいきたい」と記者団に述べ、各紙の10日夕刊、11日朝刊と一斉に統合一色の報道があふれた。

   その11日午後に発生したのが東日本大震災で、統合協議どころではなくなった。

   3月22日の定例会見で斉藤社長は「電話では(大証側と)1~2回話したが、いま何かお会いしてそういう話をする時ではない」としたうえで、本格的な協議は、「市場が落ち着いてから」と述べた。ただ、これに先立つ3月15日の大証定例会見で米田社長は「仮に統合するなら一刻も早くやるべきだ」との考えを示した。

   急ぐ大証に対し、内部調整に時間がかかる東証という構図でもある。「市場が落ち着いた」と思われる4月下旬、5月中旬の両社長の定例会見でも、協議進展は語られなかった。5月の会見で東証の斉藤社長は「一方(大証)が上場していたら話すことは違法」との持論を展開し、口をつぐんだ。

上場を優先するなら統合はいったん白紙

   とはいえ、協議が全く止まっているわけではない。複数の関係者によれば、両社長が震災後に少なくとも1度は直接会ったほか、事務レベルの会合も複数回あった。

   問題は東証がなお上場へのこだわりを失っていない点だ。東証は2001年に株式会社化した時から上場が課題で、「2011年3月期に3期ぶりの最終黒字化を果たした今がその時期」(東証幹部)との思いは強い。東証は時価総額が数千億円とも見られ、中小証券など110社の株主も早期上場を求め続けている。しかし「統合を前提にした上場は株価算定上からしてもあり得ない」(大証関係者)との見方が一般的。つまり、上場を優先するなら統合はいったん白紙にしなければならないという理屈だ。

   実は斉藤社長は統合構想が発覚した3月10日の段階では記者団に「(統合の前に)上場が先」と明言し、その後上場についてトーンダウンしている。どうやら斉藤社長はよく状況をつかんでおらず、内部で調整を進めないままそう発言したようだ。

   もし斉藤社長が統合を優先(上場は断念)するなら、中小証券などの株主を納得させる必要がある。また、上場会社の大証が存続会社になり、主導権を握られかねないことについても東証内部を説得する必要がある。この6月で社長就任丸4年となり、レイムダック化しつつある野村証券副社長出身の斉藤社長にその力量があるかが問われているというのが、東証大証統合協議のポイントだ。

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