手間いらず、簡単に作れ、うまみ増す 大震災後押し?干し野菜がブーム

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   キャベツやトマト、タマネギなど身近な野菜を干して作る「干し野菜」「乾燥野菜」がブームになっている。マンション住まいでも、ベランダなどで日当たりのよいちょっとした空間があれば簡単に作れる。干せばうまみも増すといい、主婦をはじめ幅広い層にファンが広がっている。

   インターネットでは干し野菜自体の販売はもちろん、干し野菜を作るための専用の網やカバー付きのざるなどが次々と紹介されており、書店では「干し野菜のすすめ」「干し野菜は太陽の味」「干し野菜の深味レシピ」など干し野菜の作り方や各種のレシピ本が並ぶ。

ざるやかごなど通気性のよいものに乗せれば十分

   生協「パルシステム」は、干し野菜づくりに使えるつり下げ型ネットを2010年から数回、カタログに収録して好評。花粉や大気汚染を気にせずに干せる野菜乾燥機(価格1万円程度)もネットモールや百貨店などで売られている。「干し野菜がテレビでも紹介されたこともあり、エコへの関心の一環として注目が集まってきたのではないか」と小売り関係者は話す。

   干し野菜人気の大きな理由の一つは、「とにかく手間がかからず、簡単に作れること」(同関係者)。ベランダをはじめ、出窓、縁側、庭先と、風通しのよい場所を見つけ、晴れた日に干すだけでよい。水分を飛ばすため、野菜は細く、薄く切った方がいいが、干すために特別な道具は必要ない。日ごろからキッチ ンで料理用に使っている、ざるやかごなど通気性のよいものに乗せれば十分だ。

震災で保存食が見直されたことも影響

   レタスなど水分が多い野菜は適さないが、キュウリをはじめ、大抵の野菜は干せる。干す時間は種類によって異なるが、比較的水分の少ないキノコなどなら3時間程度でよいとされる。干した野菜はほこりを落としたり、水で洗うなどして冷蔵庫に入れて保存する。傷みやすい生野菜に比べ、日持ちがよい。

「価格が安い旬の時期にたくさん買い込み、干し野菜を作れば家計は助かる。一人暮らしの人なら、これまで余って捨てていた食材を有効に活用することができる」

と、干し野菜作りの経験者は話す。

   うまみが増し、栄養価が上がる点も重要なポイントだ。専門家によれば「干した野菜は、たんぱく質や炭水化物、カルシウムや植物繊維などが濃縮される」という。うまみや糖度が増すことで、干し野菜を生野菜と同じように料理に使えば、料理の味も増す。水分の吸収がよいため、「スープや 煮込み料理などにも適している」とも言われている。

   ドライトマトに代表されるように、干した野菜は世界各国で使われている。日本でも、干しシイタケや切り干しダイコンなど、昔からなじみのある食材も多く、干し野菜は決して未知の世界のものではないことも、人気上昇の背景にあるようだ。

「東日本大震災で保存食が見直されたこともブームを後押しするかもしれない」

との声も上がっている。缶詰やレトルト食品をはじめ、日持ちする食料への関心が高まる中、少しの手間をかけるだけで保存がきくうえ、メリットが大きい干し野菜への注目は当分続きそうだ。

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