内閣不信任案が近く提出される見込みだ。可決されるには相当数の民主党内からの造反が必要だが、仮に可決された場合どうなるのか。「大震災直後のこの時期に解散・総選挙なんてできっこない」との声も根強い。菅直人首相は総辞職へ追い込まれるのか、それとも解散に打って出るつもりなのか。
自民党と公明党は2011年6月上旬にも内閣不信任案を衆院へ提出する構えで詰めの協議を行っている。「小沢一郎・元代表グループ関係者が『可決に必要な(造反)数を確保した』と言っている」「いや、小沢氏らからは離党の覚悟が感じられず、腰砕けになるのでは」――自民・公明両党内でも、民主党造反組の「票数」は読みきれていない。
可決されれば解散か総辞職
衆院で内閣不信任案が可決されれば、憲法69条の定めにより、首相は解散するか総辞職するかを選ばなければならない。今回、不信任案が可決されるには、与党側から何人程度の造反が必要になってくるのか。
単純計算すると、75人から81人もの与党側からの賛成(造反)が必要になる。かなり多い数だ。幅があるのは、野党の社民党が、自公方針には乗らず不信任案に反対するとの見通しがあるからだ。衆院定数は480議席で、与党は民主党だけで300議席を上回っている。
一方、「小沢氏周辺は不信任案可決への賛成署名を50人以上集めた」との情報も伝えられる。約50人の鳩山由紀夫・元首相グループの動向も、小沢氏らと歩調を合わせるのか、と注目を集めている。必要造反数が、「手の届くところ」のようにみえなくもない。
各種世論調査で民主党の政党支持率が自民党に逆転されている中、「解散は困る」民主党議員は多い。さらに、原発事故を含めた東日本大震災後の対応に追われる今、「選挙で政治的空白をつくっている場合ではない」との指摘もある。仮に不信任案が可決したとして、「解散・総選挙」は「あり得ない」選択なのだろうか。