海江田万里経済産業相が記者の質問に言葉を失った。沈黙は約7秒。よほど苦々しく思ったのか、ムッとした面持ちで口を真一文字に結んだままだった。
菅直人首相が主要8か国首脳会議(G8サミット)で表明した太陽光パネルを1000万戸の住宅に設置する目標について、「エネルギー政策担当の経産相に相談なく決めることがあるのか」と聞かれ、押し黙ってしまったのだ。
「よくお考えになっての発言と思います」
海江田経産相は2011年5月27日の記者会見で、菅首相がフランス・パリで開かれたG8で表明した太陽光パネルの1000万戸の設置について、「残念ながら、報道された発言録しか読んでいない」「聞いていない。帰国したあと、詳しく話を聞きたい」と、首相から事前の相談がなかったことを明かした。
そして、記者からこのことを突っ込まれると海江田経産相は沈黙。ようやく「首相だから、自分の思いを発言することは、わたしはかまわないと思う」と苦しいフォローをした。
菅首相は太陽光発電を含む自然エネルギーの比率を2020年代の早い段階で20%超にもっていくとも話していて、太陽光パネル1000万戸も20年を一つの目安にしているようだ。とはいえ、業界団体の太陽光発電協会が掲げている20年の目標戸数は530万戸だから、菅首相の目標とは約2倍違う。
太陽光パネルを住宅に設置するには平均で240万円程度かかる。1000万戸の設置となると、2兆4千億円。国民にかなりの負担を強いることにもなり、補助金でも出さなければ1000万戸の達成は厳しい。政府としては当然、その財源が問題になる。
海江田経産相は「1000万戸のパネル設置」の実現の可能性についても、「(菅首相が)よくお考えになっての発言と思います」と、少し突き放したように話している。