「善玉ハッカー」とも付き合わない
ブルームバーグの記事によると、ホッツ氏のパソコンは押収され、ツイッターのアカウントも取り上げられた。さらにソニーは、ホッツ氏がサイトで公開したコード内容の削除だけでなく、そのサイトにアクセスしてきた利用者のIPアドレスをすべてソニーに引き渡すよう求め、裁判所が認めたためという。結局3月31日、ホッツ氏がサイトで公開していたコード内容を永久に差し止める代わりに、ソニーが訴訟を取り下げることで決着した。
大手企業が、弱冠21歳の1人のハッカーに対して強硬手段に出た格好だが、この対応には疑問の声もでた。ハッカーの中には「ホワイトハット」と呼ばれる、ハッキング行為を通して企業側にセキュリティーの不備を教える「善玉」も存在する。だがソニーは、ハッカーとうまく付き合おうとせず、かたくなな態度を取り続けているという米セキュリティー専門家の指摘もある。
ソニーへのサイバー攻撃が始まったのは、ホッツ氏とソニーの「和解」が伝えられた4月以降。特に関与が指摘されているのが、「アノニマス」と呼ばれるハッカー集団だ。内部告発サイト「ウィキリークス」が2010年11月、米国の外交公電を公開し始めた際に、ウィキリークスと取引を停止したマスターカードやビザのウェブサイトを攻撃したことでも知られる。実際、アノニマスは4月3日にウェブサイト上で、ソニーに向けて「アノニマスの怒りを知ることになるだろう」と警告している。
だがアノニマスは、公式ブログで一連の情報流出に関する「犯行」を否定した。ソニエリのサイトに侵入した「レバノン人ハッカー」との関係も、今のところ明らかになっていない。