「普通のエンジンでは赤帽の業務に耐えられない」
このため、軽商用車にもかかわず、サンバーの走りはスポーティーで、自動車評論家の国沢光宏氏ら専門家の愛好者も多く、軽商用車では唯一と言ってもよいファンクラブが複数存在する。スバルの軽撤退が決まった当初、愛好家が富士重工に対し、「せめてサンバーだけでも残してほしい」と、署名を集めて嘆願。大手全国紙が大きく取り上げたほどだ。
サンバーの生産中止を惜しむ声は、熱心なファンにとどまらない。サンバーのトラックを専用車として採用している赤帽のドライバーたちだ。赤帽によると、赤帽がサンバーを専用車に選んだのには歴史的経緯がある。赤帽が使用する軽トラックは「沢山の荷物を積み、長い距離を走る」ため、「普通の乗用車の寿命と言われる距離(10万キロ)を多い人は1年で、少ない人でも3年程度で走ってしまう」という。高速道路など長距離を長時間走ることも、短い距離を頻繁に走ることもあり、クルマを酷使するわけだ。
このため赤帽の組合員から「普通のエンジンでは赤帽の業務に耐えられない」という意見が出され、自動車メーカーに専用開発を打診したところ、要望に応えたのが富士重工だったという。赤帽は「エンジンに数項目の赤帽専用項目を盛り込み、その他にも専用部品を装備している。全国の組合員から様々な意見や要望が寄せられ、それらを反映させた結果、赤帽車は国土交通省の認可を受けた専用車輌になった」という。