「犬と猫、ペットにするならどっち?」。これを日本と欧米で比べてみると、日本では犬が猫を上回っていて、欧米では猫が上回っている。といって、日本人は犬好きで、欧米人は猫好きかというと必ずしもそうではないようだ。
ペットフード協会の調べによれば、2010年に全国の家で飼われている犬の数は1186万1000匹、猫は961万2000匹(外猫は含まれない)。飼育世帯は犬が941万4000世帯。猫は558万8000世帯。今後飼ってみたい動物を聞いたところ犬が34.2%、猫が19.1%だった。
犬を飼うためのハードルが高い欧米
海外ではどうかといえば、イギリスのペットフード製造者協会(PFMA)のホームページにはヨーロッパの5500万世帯がペットを所有していて、うち猫が4700万匹、犬が4100万匹飼われている。 アメリカで飼われている猫は7600万匹で、犬は6070万匹だ。
イギリスのインデペンデント紙の電子版(11年4月4日)によれば、イギリスでは猫が94年から一番人気のペットになっているのだという。ただし、ピーク時の960万匹から現在は1割程少なくなっていて、犬の830万匹に並ばれそうだ、と書いている。
ベネッセコーポレーションが発行するペットとの生活雑誌「いぬのきもち」「ねこのきもち」の発行部数を比べてみる15・6万部、10・8万部と「いぬのきもち」の方が多い。
日本と欧米の差はどういうことなのだろうか。単純に日本は猫よりも犬好きが多く、欧米は逆といっていいのだろうか。ペットショップチェーン大手センチュリーペットの中尾哲也マネージャーによれば、犬も猫も家族として受け入れているのは同じだが、欧米の場合は犬を飼うためのハードルが日本に比べ非常に高いのだという。
ペットショップはあっても、販売に制限がある。そのためブリーダーなどを通じて犬を引き取るのが一般的だが、飼育に適切な家庭なのかどうか、審査があるのだそうだ。さらに、犬のためにトレーナーを雇うなどし、各種の技能を身に付けさせるための訓練を行う。また、飼い主が虐待などの行動をすれば通報されるなど周囲の目も厳しい。
「犬の場合は相当な覚悟と経済力がなければ飼えないわけです。一方で猫は犬のような縛りが少なく飼いやすい。欧米で猫を飼う人が多いのはそんな理由もあります」
と中尾さんは話す。