インターネット電話サービス「スカイプ」で、全世界的な障害が発生した。突如ログインができなくなり、その後ウェブサイト自体も接続エラーになった。
無料で通話ができるスカイプは、近年はスマートフォンにも導入されるなど用途が広がっている。一方で、半年前にも接続障害を起こすなど「インフラ」と呼ぶにはまだ不安な面もある。
オンライン英会話「大きな打撃になりました」
スカイプに異常が発生したのは、2011年5月26日の20時過ぎだ。ツイッターには「スカイプおかしいのか?」「帰宅してスカイプ起動しようとしたら強制終了した」などといった投稿が出始めた。だがこれは、国内だけの問題ではなかった。同じころ、米国でも「スカイプがいきなり使えなくなった。腹立つ」との書き込みがネット上で見られる。実は、世界的にダウンしていたのだ。
スカイプのソフトをインストールしたパソコン同士なら、国内外を問わず無料で通話ができる。固定電話や携帯電話にもスカイプ経由でパソコンから電話でき、ウェブカメラを使った「ビデオ通話」も可能だ。最近は米アップルの「アイフォーン」や、米グーグルが開発した基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載したスマートフォン向けに無料アプリも出している。
「無料」を武器に利用者数を伸ばし、国内では最近、スカイプを利用した外国語会話サービスが増えてきた。だが、今回の通信障害では大きな影響を被った。オンライン英会話を手がける「ぐんぐん」もその一つだ。同社は、フィリピン在住の教師と、英語を学ぶ生徒がスカイプを通じて英会話の授業を行う。「ぐんぐん」に聞くと、スカイプの障害が発生した20時以降、レッスンを予約していた生徒から「スカイプにつながらない。どうすればよいか」との問い合わせが殺到したという。夜は、仕事を終えて帰宅した人が授業を受けるケースが多く、予約が混み合う時間帯にスカイプがダウンしたため「当社にとって大打撃となりました」と話す。
フィリピンでも教師たちがスカイプにアクセスできず、「ぐんぐん」では、スカイプ障害の影響を受けた生徒に対して振替授業を実施することに決めた。
半年前の障害ではCEOが謝罪
スカイプの運営会社「スカイプ・テクノロジー」では当初、マイクロソフトのOS「ウインドウズ」を搭載した端末だけがスカイプにつながらないと見ていたようだが、その後アップルの「Mac」やリナックスOSの端末でもアクセスできなくなった。
スカイプのウェブサイトはその後、閲覧できるようになり、日本語版のサイトでは不具合発生を謝罪したうえで対応策を公表した。ウインドウズ版は最新版のソフトのダウンロードを、また「Mac」版は一部ファイルの削除を促した。
実はスカイプでは、2010年12月23日にも世界的な接続障害を起こしている。先述の「ぐんぐん」でも、今回と同じトラブルが発生して対応に追われたそうだ。当時は、トニー・ベイツCEO(最高経営責任者)が謝罪したうえ有料会員に対して一部料金を返金している。今のところ公式ブログには今後の対応については発表されていないようだが、半年で2度目の世界的なダウンだけに、何らかの措置は必要になりそうだ。