夏は避暑地や海外でゆっくり過ごす――。企業が節電対策の一環として夏季休暇の長期化を検討しているなか、大手旅行会社が相次いで長期滞在型の旅行プランを打ち出している。
これまで夏のパッケージツアーは、国内旅行で2~3泊、海外旅行で4~5泊が主流。それを欧米のように14日~1か月間、旅先での「時間」を楽しんでもらおうと企画した。
「休暇の過ごし方が変わる」ターニングポイントの年
旅行最大手のJTBは2011年5月20日から「JTBのロングバカンス」を発売。第1弾として、小学生の子どもをもつファミリー向けプランの「少し長めの夏休み」とシニア向けの1か月間滞在可能なプランを用意した。
新しい長期滞在型プランのポイントは「過ごし方」の提案だ。JTBは、「今年は日本人の休暇の過ごし方が変わる、そんなターニングポイントになり得る年」と力を込める。
「少し長めの夏休み」は、長野県の民宿に14日間泊まる親子参加型プランで、ハイキングや沢登りが親子で楽しめるほか、農業体験などを通じて地元の人たちと交流できるプログラムが組み込まれている。子どもが宿題を持ち込んで、現地でも勉強できるようにサポート体制を敷いており、「おそらく先生を用意したプランは初めてではないでしょうか」と胸を張る。
一方、シニア向けのプランは、北海道のニセコと沖縄の北谷にコンドミニアムを用意。料理も洗濯も自分たちのペースでゆっくりすごせる。30連泊した場合、1泊ひとり約1650円から滞在できると安さもアピールした。
WEBサイト「北海道観光研究所・北杜の窓」を運営する、観光マーケティングプランナーの奥山高樹氏によると、「ニセコなどのリゾート地の予約は、すでに埋まってきています」と、6月以降の北海道観光はかなり期待できるとみている。
「長期滞在型の旅行はこれまでもあったが、なかなか普及してこなかった。リタイアの高齢者層を想定していましたが、震災後のこの夏はいろいろなストレスから解放されたい、気分を一新したい、癒しを求めるなど、これまで想定しない人が訪れるはず」と予測する。