自民党の衛藤晟一参院議員が、外務省職員に向かってコップの水をまいた。韓国国会議員による北方領土訪問に関するやりとりの途中で激高したのだ。部会で何が起きたのか。
「いい加減にしろ。本気で国益を守ろうと思っているのか」。衛藤議員の怒声が飛んだのは、2011年5月24日の自民党外交部会でのことだ。韓国の野党3議員による24日の北方領土(国後島)訪問について衛藤議員が質問する中、担当の外務省審議官が顔を横に向けて同僚と話を始めたという。「ニヤニヤ笑っているように見えた」(衛藤議員)こともあり、衛藤氏はコップの水を机の前に向かって投げつけた。
「水を投げつけたことは大人気なかった」
「水を投げつけたことは大人気なかった」。騒動から一夜あけた5月25日、衛藤議員はJ-CASTニュースの取材にこう答えた。しかし、激怒したこと自体は今でも正しかったと考えているそうだ。また、「水をかけた」との報道もあるが、実際には数メートル以上離れており、水がかかる距離ではなかったとも説明した。
問題となった5月24日の部会で、外務省審議官は韓国議員の訪問当日になっても「事実関係を確認中」と繰り返した。20日の参院予算委の段階で事前情報があり、菅直人首相は「確認された場合には、きちっと対応をとりたい」と答弁していたにもかかわらず、だ。
衛藤議員が24日に「激怒」したのは、何も当日の審議官の態度が悪かったからだけではない。民主党政権になってからの領土問題への対応は、「主張すべきを主張する」姿勢ではなく、「形式上、とりあえず遺憾の意を表明して終わり」にみえる。韓国が竹島の実行支配を強化する施策を加速させ、ロシア要人が北方領土訪問へ踏み切ったことは、日本政府が毅然とした態度を示さないからだとの指摘は少なくない。
衛藤議員らはそうした忠告を繰り返してきたが、政府・外務省にはいっこうに危機感が感じられないことに苛立ちを感じている。「今後も断固、政府に毅然とした外交姿勢を求めていく」としている。