がん患者からの腎臓移植「臨床研究」続く 5件いずれも「順調」と日本の医師が報告

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   がん患者から摘出された腎臓のがん部分を除いて移植する「修復腎移植臨床研究」の中間報告が2011年5月18日、ワシントンで開かれた米国泌尿器科学会で発表され、注目を集めた。発表した研究責任者の小川由英・東京西徳洲会病院顧問 (腎臓病総合センター長代行) は「修復腎が有効利用できることは十分理解されたと思う」と話している。

   徳洲会宇和島病院の万波誠医師らが行っていた「修復腎移植」が明らかになると日本移植学会などが「危険だ」と反対、厚生労働省は2007年、正式な臨床研究以外の修復腎移植を禁止した。そこで徳洲会グループは2009年に2種類の臨床研究を企画し、現在も「移植」を進めている。中間報告はその1つで、がん患者から提供された腎臓を第三者に移植する臨床研究に関するものだ。

全員が人工透析をやめられた

   小川さんによると、提供したのは直径4センチ以下の腎臓がんを持つ51歳から79歳の男性5人。腎臓を残すこともできると説明したうえで、提供することを文書で承諾してもらった。

   腎臓は愛媛、広島、鹿児島の病院で摘出され、2009年12月から2010年8月までの間に徳洲会宇和島病院で移植が行われた。移植を受けたのは47歳から66歳の、女性4人と男性1人。血液型や症状などから選ばれた。うち3人は腎移植の経験者だった。5人のうち4人に拒絶反応が起きたが、全員が人工透析を離脱でき腎機能はほぼ正常に回復した。がんの発生は見られていない、という。

   臨床研究は当初は5件の予定だったが、移植希望の登録者が54人にものぼったことからグループは10件に倍増、現在まで計7人が移植を受けている。小川さんは今回、8か月以上を経過した5人分について「研究成果」をまとめ、中間報告した。

(医療ジャーナリスト・田辺功)

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