「国際競争力」「国外移転」に懸念の声
単純化して引用すると、原発依存度の高低などに応じ「現実的な」4段階の選択肢を示した。うち、最も再生可能エネルギー(風力など)重視の「原発全廃+再生可能エネルギーの最大活用+LNG(天然ガス)による補てん」の場合、2020年の段階で電力コストは「70%増」と試算した。単純にすべてを電気料金に転嫁すれば「料金70%増」ということになる。
同分析は、この選択肢では「国内投資減速」「産業空洞化のリスク」などの影響が出ると懸念を示し、グラフ上では「×」印をつけている。
逆に、選択肢中では最も原発重視の「原発への段階的回帰(新規設置も)」の場合は、4%増にとどまるとしている。残り2選択肢では、「原発の既存設備有効活用(現状保留)」では5%増、「古い原発から順に廃炉+再生可能エネルギーへの段階的シフト(略)」は48%増としている。同分析の分類では、「原発全廃+再生可能エネルギーによる補てん」を「原発全廃」としており、現実的ではないとして選択肢のうちに入っていない。また、コストだけでなく安全性など6項目でそれぞれ評価している。
電力料金値上げについて、日本商工会議所の岡村正会頭は11年5月12日、記者会見で「国際競争力という面で非常に多くの問題が発生する」として、企業の国外移転などに懸念を示した。「極力値上げしないよう努力して頂きたい」とも注文した。