会社が被った損害を確定することは困難
その理由は、企業側に勝算がないからだ。茨城労働局や島根労働局のウェブサイトで公開されているQ&Aでは、同じように会社から脅されたという相談に対し、
「(損害賠償の請求は)突然の退職(又は無断欠勤)と会社が被った損害との間に相当の因果関係がある場合に限られ、しかも損害賠償額も会社が実害を受けた範囲内に限られますので、多くの場合、会社が被った損害を確定することは困難と考えられます」
などの回答が掲載され、退職する従業員に対する損害賠償請求の難しさが説明されている。
塩見弁護士も、
「労働者側が横領などの積極的加害行為をしていない限り、このようなケースでは会社側にまず勝ち目はない。勝てると勘違いをしているか、辞める人への腹いせとしか思えない」
と話す。
それでも、今回のように訴えられた場合には、受けて立つしかない。塩見弁護士はツイッターで、訴えを起こした会社に「残業代請求」「安全配慮義務違反」「退職の自由の侵害」などで反訴していることを明かしている。