(ゆいっこ花巻支部;増子義久)
余震が次第に収まってきたと思ったら、今度は現地の避難所で、あるいは内陸部の一時避難先で救急車のサイレンに目を覚まされることが多くなった。避難生活が2か月を過ぎ、被災者の精神的・肉体的な疲労が極限状態に近づきつつあるような気がする。
「お願いです。救急車を呼んでください」。20日午前7時前、聞き取り調査のために宿泊していた花巻市内の温泉旅館。大槌町から夫婦で避難している被災者の奥さん(75)が青ざめた表情で部屋に駆け込んできた。ご主人(81)が意識朦朧(もうろう)の状態だという。帳場に頼んですぐに救急車を呼んでもらった。搬入先の北上市内の総合病院で診察した結果、血糖値が急低下したのが原因と分かり、4日間の入院加療と診断された。「あの津波で糖尿病の薬が流されてしまい、一時期、投薬を中止していた。それも影響しているのかも知れません」と奥さん。
往来を続けている大槌町安渡地区の避難所でも何度かサイレンの音にギクリとさせられた。大部屋での共同生活、偏りがちな栄養、災害時を思い出すことによる不眠、被災者同士の人間ないざこざ……。劣悪な生活環境下で今後、不測の事態はますます増えそうな気配である。
ゆいっこは民間有志による復興支援組織です。被災住民を受け入れる内陸部の後方支援グループとして、救援物資やボランティアの受け入れ、身の回りのお世話、被災地との連絡調整、傾聴など精神面のケアなど行政を補完する役割を担っていきたいと考えています。
岩手県北上市に本部を置き、盛岡、花巻など内陸部の主要都市に順次、支部組織を設置する予定です。私たちはお互いの顔が見える息の長い支援を目指しています。もう、いても立ってもいられない───そんな思いを抱く多くの人々の支援参加をお待ちしています。
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