枝野幸男官房長官は2011年5月20日夕方の定例会見で、「直ちに健康への影響はない」という表現について釈明した。この表現を記者会見で多用し、「『後々影響が出る』という意味なのではないか」と疑問も出ていた。
フリージャーナリストの岩上安身氏の
「『直ちに』は急性のものを指しており、晩発性のものは考慮に入れていないように聞こえる」
との指摘に答えた。
状況が変化すれば対応も変化することを強調
枝野氏は、
「『直ちに影響を及ぼすものではない』という表現を使っていたのは、原発の状況が流動的であったということ。つまり、さらに状況が悪化する可能性が高い、あるいは、その可能性が十分にある状況のもとで、したがって、原発の状況が現状であるならば、直ちには、影響するものではない」
と説明。つまり、「直ちに=今の状況が続けば」という意味のようだ。その上で、
「ただし、原発の状況がもしかすると悪化するということになれば、例えばその時点で、想定していた避難地域では十分ではなくなって、さらなる避難をお願いする可能性がある」
と、状況が変化すれば対応も変化することを強調。さらに、
「そういうような意味で、『その時点での原発の状況においては』という意味で、『直ちに』という表現を使わせていただいたもの。『すぐに影響が出ることはないけれども、将来的に影響が起こる可能性(がある)』ということを意味して『直ちに』という表現を使ったことはない」
と釈明した。
なお、広辞苑の第6版によると、「直ちに」という副詞には、(1)「じかに。直接に」(2)「時を移さず。すぐに。じきに。即座に」の二つの意味があるとされている。