ロシア、アジア、中東など新興国に強い会社
そこで白羽の矢がたったのが、1874年にノルウェーで創業し、現在はスイスに本社を構えるナイコメッドというわけだ。同社は「欧州はもちろん、ロシアやラテンアメリカ、アジア、中東など新興国で強い存在感がある」と、自らアピールしている。米国と日本では提携先を通じて商品を販売する程度で、武田薬品とバッティングせず、市場も商品も補完関係が成り立つという。2010年12月期の売上高は約32億ユーロ(約3700億円)で、武田薬品の4分の1程度。円高のメリットを生かし、外資を安く買収するにはチャンスだったわけだ。
ナイコメッドは非上場会社で、現在は投資ファンドなどが株式を保有している。このため、最終交渉は武田薬品が提示する買収額にファンド側が応じるか否かにかかっていた。武田薬品のアドバイザーはドイツ銀行が務め、交渉は秘密裏で行われた、武田薬品も最後までノーコメントを貫いた。