頭部、内蔵、骨は食べない、という前提
仮にストロンチウムの測定を行ったとしても、まだ問題は残る。ストロンチウムは化学的にカルシウムと似ており、体内に入ると骨に蓄積されるリスクが高い。だが、現時点で厚生労働省が定めているマニュアルでは、魚については、頭部、内蔵、骨を切り離して、食べられる部分のみを測定する手順になっている。これでは、仮に骨にストロンチウムが蓄積されていても、見逃されてしまう。
さらに、第3者による独自調査が制約されていることも、不安に拍車をかけている。
環境保護団体「グリーンピース」は、4月20日、調査船「虹の戦士号」(オランダ船籍、555トン)での調査を、オランダ政府を通じて日本政府に提出し、沿岸12海里(22キロ)の領海内での調査を求めているが、いまだに許可がおりていない。
グリーンピースの調査によると、5月3日には、福島第1原発から南東53キロ地点で採取された海草の一種である「アカモク」から、1キロあたり1万3000ベクレルの放射性物質を検出している。
5月13日には、細野豪志首相補佐官が記者会見で、
「調査方法については、適切なものか、日本政府が定めるものと同じか、確かめたい。グリーンピースの調査結果を無視することはしない。調査方法の違いも含めて、グリーンピースの調査結果を受け止め、政府の調査を強化し、危険性を確認する」
としているが、1週間がたった現時点でも、目立った動きがないのが現状だ。