電事連「停電の少なさ、世界のトップレベル」
今回、発送電分離論が急浮上した理由は、いくつか指摘されている。いずれも原発事故を受けたものだ。菅首相は5月18日の会見で、今後力を入れる考えの自然エネルギーは地域分散型発電だとして、従来の大規模発電を前提とした送電システムの見直しが必要になってくるとの文脈で発送電分離に触れた。
一方、識者らの間からは、東電から送電部門を分けて売却し、原発事故賠償に当てるべきだという考えや、単に菅首相が「東電など電力会社に対して厳しい姿勢で臨んでいる」というポーズを示したいだけだ、という冷めた見方も出ている。
電力各社で構成する電気事業連合会は従来から、「電力の安定供給を図る上では、責任をもって運用できる事業者が、発電から送電までの一貫体制であたることが必要だ」との見解を示している。今回の菅首相の発言を受け、何だかの緊急声明などを出す予定は今のところはないという。
電事連のサイトには「1軒あたりの年間事故停電の国際比較」が載っている。国によって実績年次は異なるが(2004年から07年度)、5か国6地点(米国のみ2地点)中、日本は2番目に少ない16分だった。最長は162分のカリフォルニア(米)、以下100分のイギリス、57分のフランスと続く。最短はニューヨーク(米)の12分。同サイトでは「停電の少なさでも日本の電気事業は、世界のトップ水準にあります」としている。