ガソリン「だぶつき状態」 価格の低下は期待できず

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   ガソリンがだぶついている。東日本大震災の発生直後には供給力が低下して品切れが続出し、ガソリンスタンド(GS)にはクルマが長い列をなした。それから2か月が過ぎて、状況が一転した。

   その一方、世界的な原油価格の高騰もあって、ガソリン価格は高止まりしている。全国平均価格は2011年3月22日に、2年5か月ぶりに1リットル150円台に乗せたままだ。

04年ピークに利用は減っている

ガソリンはさらにだぶつく?(写真はイメージ)
ガソリンはさらにだぶつく?(写真はイメージ)

   ガソリンがだぶついている理由について、石油連盟は「要はつくり過ぎたんです」という。当初GSでは一人あたりの給油量を制限したり「買い占め」しないよう貼り紙をしたりと対応に追われたが、「震災直後はガソリンが不足したのではなくて、物流が滞っていたために被災地を含め必要なところへ行き届かなかった。急いで届ける必要があったため、生産した結果、いまの状態になっているということです」と説明する。

   石油連盟によると、3月の国内需要は前年同月に比べて5.3%減。なかでも被災地にあたる東北3県は30%前後も減少した。

   また、石油情報センターも「ガソリンは基本的に、だぶついた状態にあります」と話す。ガソリンの需要は、2004年をピークに年率3%程度のペースで下がっている。自動車の保有台数の減少と低燃費のエコカーの普及によって、ガソリンの利用が減っているためだ。

   ガソリンは5月7日時点で、約230万キロリットルの在庫を抱えている(石油連盟調べ)。

重油の精製でさらに在庫増える?

   ガソリンの在庫量は、さらにだぶつく可能性がある。東京電力は、福島第一原子力発電所の事故による電力不足対策として、火力発電の割合を高める。燃料となる重油の需要もおのずと高まるが、石油元売り会社はその分を増産せざるを得なくなる。ガソリンは、重油の精製過程で副次的に生産されるので、多くの重油をつくれば、ガソリンも増えることになる。

   ガソリンの在庫が増えることで、消費者にとっては価格の下落を期待したいが、石油情報センターは「あまり下がらないのではないか」とみている。

   5月のゴールデンウイークには、ニューヨーク原油先物市場で代表的な指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)が1週間で16ドル(15%)も下落して、2011年5月6日の終値は1バレル97.18ドルと、100ドルを割り込んだ。米国景気の先行き不透明感から売られたとされる。

 

   これを受けて、国内でも5月9日のガソリン価格(全国平均)が前週と比べて3銭安の152.2円とやや下がりはしたものの、中東や北アフリカの政情不安が続いていることや、中国やインドなど新興国の需要が旺盛なことなど、「中・長期的には原油価格の上昇基調は続くとみている専門家は少なくありません」(石油情報センター)と、ガソリン価格が下がる要因は見当たらない。

   石油元売り会社としても値崩れは避けたいところだから、必要とあらば「輸出などで価格を維持することは考えられます」という。

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