左投手が打てず、「右投手専用」の指名打者に
ボブ・ゲレン監督は相手チームの先発が左投手だと、松井を外す。当初は、単純に左対左の不利を避けるためだったが、今では「打てないから」とはっきりした理由からである。バッティングを買われてのアスレチックス入りだった。つまり指名打者。それが右投手のときにしか使われなくなっている。
「なんとかして左投手を克服してほしい」
球団では松井のためもあって左投げの打撃専用投手を雇った。なんと50歳。大学時代に全米優勝の経験があり、プロでは3Aで投げたことがある。ほかに女性のバッティング投手もいる。
アスレチックスも日本と同じく、「早出特訓」がある。調子の出ない打者が早く球場入りして打ちこむ。松井はよほどのことがない限りそれをしないという。
「必要があれば打ち込む。たとえ(特訓の)連絡があっても自分の考えでやる」
巨人時代にはない自己主張である。このあたりは実力大リーガーらしい意志の強さがうかがえる。