ゴジラが悩んでいる。アスレチックス松井秀喜は開幕から調子が上がらず、先発メンバーから外れることも多い。このままではファーム落ち、あるいはトレードも考えられる状態だ。
冷静な男も、イライラ募り意外な行動
かなり焦っているな、と思わせたシーンがあった。2011年5月5日のインディアンス戦。延長12回に代打で起用されたのだが、遊撃フライに打ち取られた。その直後、バットをグラウンドにたたきつけて悔しさを見せた。いつも冷静な男にしては珍しいことだった。
「打ち損ねたね。打たなくては…」
打てる1球を打てなかったというのだ。普通の調子であれば、まずバットをたたきつけることはない。自分の置かれた状況がそういう衝動に駆り立てたのだろう。
4月は打率2割4分2厘という低さだった。これは大リーガーになって、故障者リストに入った2007年を除くと最低の成績。5月になり、2日に日米通算1500得点を記録し、勢いに乗るかと思われたが、低調が続いた。先発出場から外される回数が多くなり、ゴジラらしいすごさが見られない。
「ベンチにいるときは休み。休めばいい。出場したときは、結果を出すように頑張る。それだけのこと」
松井はそう言う。常にレギュラーとして試合に臨んできただけに、ベンチに座って同僚のプレーを見るのはつらいはずである。ヤンキース時代のように、疲労を癒すために欠場していたのとは全く違う。