電気料金値上げどこまで容認 東電賠償枠組み決着後の焦点

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金融機関の債権放棄簡単ではない

   これとからみ、枝野幸男官房長官が枠組み決定の閣議後の会見で、金融機関に債権放棄を強く求める考えを打ち上げ、波紋が広がっている。金融機関の東電向け融資は4兆円あり、うち震災後に緊急に実施された2兆円を除く従来からの2兆円について、枝野長官は「(債権放棄しなければ)国民の理解はとうてい得られない」と指摘。債権放棄がなければ賠償枠組みに公的資金を投入しない可能性について「私はそう思っている」と明言したのだ。

   株・社債問題も尾を引きそうだ。今回の枠組みでは、東電の上場維持、つまり株式を紙くずにすることはせず、東電の社債も保護されることになった。「機関投資家が巨額の損失を被り、東電株を組み込んだ年金基金や投資信託などにも波及して金融市場が混乱する事態は避ける」(市場関係者)という理由だが、東電が事実上、破綻した以上、日本航空のように株主や融資金融機関の責任を問うのが筋、という声は根強い。枝野長官は、電気料金値上げも不可避とすれば、金融機関に自主的にある程度の損失をかぶらせることが必要と考えたとみられる。ただ、「既存融資の債権放棄や金利減免などに応じれば、追加融資できなくなる」(メガバンク)ことも考えられ、そう簡単な話ではない。

   今回の枠組みを裏付ける立法作業も波乱含みだ。国民負担が絡むだけに、野党だけでなく与党内にも異論がくすぶる。閣議決定が当初予定から1日遅れたのも、12日の民主党「原発事故影響対策プロジェクトチーム(PT)」が紛糾したため。PTでは、電力総連系の議員を中心に、東電の負担に上限を設けるべきだとの声が上がった一方、「電気料金値上げは認められない」との声も噴出。やっと座長一任を取り付けたといい、「法案審議では造反が出かねない」(国体幹部)との懸念も出ている。

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