団塊世代にも浸透し始めている
フェイスブック躍進の勢いは、発祥地米国で衰える気配はない。2009年10月から翌年10月にかけて利用者数は、9737万人から1億5113万人へと55%の増加を記録した。この膨大な数の会員がフェイスブックにアクセスするので、米国での全ページビューの4分の1が同サイトになるといわれている。検索エンジン最大手グーグルの実に5倍である。
ウェブは伝統的なメディアとは対照的に開放的で自由―参入障壁が比較的低く誰でも参入可能―が売り物だったが、この数年の展開はこの理想からの乖離を示している。米調査会社コンピートによれば、全米上位10サイトのページビューの合計は2001年に全体の31%であったが、2006年までに40%へとゆるやかな上昇を記録し、2010年には約75%へと急増した。有力なサイトに人気が集中し、上位サイトはその集客力をテコにして更に成長を続ける「大きなことは良いこと」という好循環を実現しているわけだ。
この成長の過程でY世代以外の人たちもフェイスブックの利用を始めた。米国版団塊の世代である「ベビーブーマー」がその中心である。筆者の友人ラリー・リップシュルツは50代の労働運動活動家だが、最近会うたびにフェイスブックが話題になる。同サイトで何十年も音信不通だった複数の旧友に再会するのが楽しみだというのだ。団塊の世代にもフェイスブックが浸透し始めている証なのだろう。
マーケティングチャーツ・ドット・コムの調査によれば、フェイスブックなどのSNSを利用する団塊世代の男女は2008年に10%以下だったが、2010年には40%以上に急伸した。この世代のSNS利用者の7割以上がフェイスブック会員だという調査結果も発表されている。
フェイスブックの肥大化は社会現象になっているだけでなく、ウェブの世界にも構造変化をもたらしている。実際ここまで大きくなってしまうと、そのサイト自体がウェブの一部というよりはウェブそのものに対抗する存在になっている。仲間との交流だけでなく、サイト内であらゆるニーズに応えるフルサービス型プラットフォームの誕生である。いわばウェブサイトが肥大しウェブそのものになるという現象ともいえよう。