「グーグルの批判記事掲載してほしい」 依頼主はフェイスブックだった

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   米大手のPR会社が、グーグルの批判記事を大手メディアに流そうとしたと、原稿の依頼を受けたブロガーが暴露した。

   グーグルのサービスの一部が、利用者のプライバシー侵害に当たるとの記事を書いてほしいとの内容だったが、PR会社に依頼したのはフェイスブックだったというのだ。

PR会社は「依頼主」明かさず

フェイスブックとグーグルが火花を散らす
フェイスブックとグーグルが火花を散らす

   米紙USAトゥデーは2011年5月11日付の記事で、大手PR会社のバーソン・マーステラ(BM)社が「ある顧客」からの要請で、同紙を含む複数のメディアに対してグーグルを批判する記事の執筆、掲載を依頼してきたことを明らかにした。

   批判の対象は、グーグルのメールサービスの登録者を対象に、直接の友人だけでなく「友だちの友だち」の個人情報までアクセスできるようなサービス。BM社では、経済専門テレビ局「CNBC」の元キャスター、ジム・ゴールドマン氏と、政治コラムニストのジョン・マーキュリオ氏の2人が、「グーグルが、ユーザーのSNS利用履歴情報を許可なく収集し、公開している」と指摘し、プライバシーを侵すものと非難した。その主張に基づいた記事の掲載を、ゴールドマン氏がUSAトゥデー紙に売り込んできたという。

   さらに同紙は、マーキュリオ氏が5月3日、有力ブロガーで情報セキュリティー研究者のクリストファー・ソグホイアン氏にメールを出し、グーグルの批判原稿を書いてくれればワシントンポスト紙やオンラインメディアのハフィントンポストなどに掲載を働きかけると提案したことを明かしたのだ。

   ソグホイアン氏自身、ツイッターで「PR会社から『ゴーストライター』として反グーグル記事を書いてほしいと頼まれた」と暴露。続けて「PR会社に『依頼主は誰ですか』と尋ねたけれど教えてくれなかった」と投稿した。そのうえで、マーキュリオ氏とのメールのやり取りを、インターネット上に公開してしまったのだ。これを読む限り、ソグホイアン氏の話どおりBM社からのメールには、グーグルがいかに利用者のプライバシーを侵害しているかが細かく説明されており、記事化の依頼や、「電話で意見を聞かせてほしい」旨が書かれている。

背景にグーグルVSフェイスブックの本格対決

   オンラインニュース「デイリー・ビースト」(DB)5月12日付の記事では、BM社に依頼した「ある顧客」の正体がフェイスブックだったと明かされた。フェイスブック広報もBM社と契約を結んだことを認め、その理由がプライバシー問題のみならず、グーグルのサービスにフェイスブックのデータを勝手に流用しようとしている疑いがあり、その対策だと説明したという。

   BM社も5月12日、フェイスブックとの契約をウェブサイト上で公式に認めた。またフェイスブックが社名を伏せるよう求め、さらに「(フェイスブックは)公的に入手可能な情報に光を当ててほしいと望んでいるだけで、その情報はメディアが独自かつ容易に検証できる、と説明した」と続けている。

   回りくどい表現だが、フェイスブックは、グーグル批判の内容は「公的情報」であり、注目してほしい内容だが、たとえメディアに売り込んだとしても「それぞれが判断すればよい」という立場だったと言いたかったようだ。一方でBM社は、この手の「ネガティブキャンペーン」は「当社の規定に沿わないもの」で、依頼を受けるべきではなかったと結論付けた。

   フェイスブックはこの件で公式な発表をしていない。だが米ウォールストリートジャーナル紙の取材に対して、グーグルに対する中傷キャンペーンの実施を促してはいないと広報担当者が述べる一方、プライバシー問題への関心を集めたかったという点は認めた。

   グーグルはSNSの機能を徐々に拡充しており、「本格参戦」となれば当然フェイスブックとって脅威。米国のユーザーは今回の騒動について「長年PR会社に勤めていたが、この手の話は昔からあった」「グーグルとフェイスブックを信頼して情報を預けて大丈夫なのか」「トップを取ろうとする企業間の『仁義なき戦い』は興味深い」とさまざま見方をしているようだ。

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