電力使用率早くも90%台 今年の夏は本当に大丈夫か

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   東京電力の電力使用率が2011年5月上旬にして90%台になり、「こんな調子で夏場は大丈夫なのか」といった不安の声があがっている。福島第1原発事故に、浜岡原発停止決定も加わり、懸念が増幅した形だ。

   2011年5月10日。東京(大手町)で11年に入り最高の27.2度(12時32分)を記録した。気象庁天気相談所によると、平年に比べても5度も高い数字だ。「今年初めてのクーラー」を使った人も少なくないようだ。

「ピーク時供給力」を夏に向け増やす

J-CASTニュースも電力使用状況をグラフ表示
J-CASTニュースも電力使用状況をグラフ表示

   インターネット上では、ヤフーなどが東電発表の数字をもとに、当日のピーク時供給力を分母にして「電力使用状況」を「%」で表示している。J-CASTニュースのトップページにも同様のグラフが載っている。その使用状況が5月10日午後に入り90%を記録、夕方までほぼ横ばいが続いた。

   「既に90%を突破」「涙目です」――。5月10日15時すぎには、ネット掲示板2ちゃんねるなどで不安の声を訴える反応が出ていた。

   電力使用状況は、8~10%程度の「予備率」があるのが理想的とされる。使用状況としては90~92%にあたり、「90%」は「危険水域一歩手前」ともいえる。

   ネットでは、「こりゃ停電もありうるな」と5月10日中にも停電になってしまうのではないか、という見立ても書き込まれた。早く計画停電に切り替えるべきだ、との意見もあった。

   また、クーラーを使い始めた人が一部で出たら「もう90%台」になったことを受け、暑さが本格化する夏場の需要にはとても耐えられないはずだ、として「今年何人熱中症で死ぬんだよ」などと悲観的な声も並んだ。中には、「これは原発維持のためのブラフだろ」と疑いの目を向ける人もいたが、懸念を示す意見の方が目立った。

   夏場の電力は大丈夫なのか。東電にきいてみると、「分母」にあたる「ピーク時供給力」は、該当する日の予想最大需要をにらみながら日々調整しており、夏場に向けて供給力を増やしていくという。5月10日のピーク時供給力は3900万キロワットだったが、7月末には3割以上多い5200万キロワットにまで増やす。

   また、当日の「ピーク時供給力」を使用量が仮に超える場合でも、緊急対応として揚水式発電を一時的な供給力として使い、供給力を増強する準備もしているそうだ。その「緊急時のプラス供給力」は何キロワットあるのか、との質問については「日々変動するものなので具体的数値の公表は控えたい」と回答した。

東電への「計100万キロワット融通」困難?

   では、結局夏場の電力供給は足りるのか。7月末の需要見込みは5500万キロワット。とすると300万キロワットが不足する計算になる。東電では、ガスタービン新設や被災火力発電所の復旧などで見込み(5200万キロワット)を上回るよう努力をするとともに、「節電のお願い」で乗り切りたい考えだ。

   海江田万里・経済産業相も4月28日、計画停電や大規模停電を避けるため、企業と家庭ともに2010年比で15%減とする夏の節電目標を発表している。

   一方、5月9日には中部電力が菅直人首相の要請を受け入れる形で浜岡原発の運用停止を発表した。中部電は、東電への電力融通を止める方針も示した。東電の夏場電力供給力に影響は出ないのか。

   東電の説明では、7月末の予定供給力(5200万キロワット)には、中部電だけでなく「西日本の電力会社」から計100万キロワットの融通を受けることも計算に入っている。中部電以外の電力会社に「お願い」し、計100万キロワットの融通枠は確保したいとしている。

   しかし、検査で停止中の原発の再開をめぐっては、「西日本の電力会社」でも見通しがたっておらず、東電への「計100万キロワット融通」は、安泰とはいかない。夏を乗り切れるかどうかはいまだ不透明だ。

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