菅直人首相は2011年5月10日の記者会見で、東京電力の福島第1原子力発電所の事故について、「政府にも大きな責任がある」として、事故収束のめどがつくまで首相としての歳費を返上することを表明した。ただし、衆院議員としての歳費は受け取る。
菅首相は、事故について、
「直接の原因は地震、津波によるものだが、これを防ぎ得なかった責任は事業者の東電とともに原子力政策を国策として進めてきた政府にも大きな責任があると考えている」
と政府の責任を認めた上で、
「その責任者としてこうした原子力事故を防ぎ得なかったことを大変申し訳なく、お詫び申し上げる」
と陳謝。6月から事故収束のめどがつくまで、首相としての歳費を返上する。また、原子力政策を所轄する海江田万里経済産業省についても、
「大臣として自ら判断するのではないか」
と、近く返上を表明するとの見方を示した。
菅首相は、衆院議員としての歳費は引き続き受け取る。議員報酬はボーナスを含むと年間約2100万円だが、3月31日には国会議員歳費減額特例法が衆参両院の本会議で成立しており、1人あたり300万円削減して、東日本大震災の復興財源に充てることになっている。