ソニーのオンラインゲーム関連の個人情報流出事件で、米子会社のPC向けオンラインゲームの利用者約2460万人について、個人情報が流出していたことが新たに明らかになった。これまでに明らかになった分とあわせると、延べ人数で1億人分以上の個人情報が流出するという異例の事態で、米国でのソニーのブランドイメージは急降下している。
ソニーのオンラインサービスをめぐっては、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の米国法人が運営する「プレイステーション・ネットワーク」(PSN)と「キュリオシティ」のシステムが外部からの不正アクセスを受け、約7700万人分の個人情報が流出した可能性がある。ソニーは両サービスを5月末までに復旧させたい考えだだが、5月9日になって、別のグループ会社にあたるソニー・オンラインエンタテインメント(SOE)が運営していたPC向けオンラインゲームのシステムが4月16日から17日にかけて不正侵入を受け、約2460万人分の個人情報が流出した可能性が浮上した。情報流出の被害が延べ1億人に及ぶ可能性も出てきた。
情報公開の遅れに批判も
一連の情報流出事故で、海外からの批判も高まっている。例えばAP通信は、
「ソニーは、ネットワーク侵入の対応をめぐり、厳しい批判にさらされている。同社は、ネットワーク上の異常な動きに対する調査を4月19日に始めたにもかかわらず、情報流出について4月26日まで消費者に知らせなかった」
と対応の遅さを指摘。対応の不備をめぐる集団訴訟が行われていることを紹介している。
実際、消費者の「ソニー離れ」も進んでいるようだ。調査会社の英ユーガブ(YouGov)社が米国の18歳以上の消費者に対して行ったブランド認知度の調査によると、事件が起こるまでは、ソニーは家電メーカーの中ではベスト3に入っていた。ところが事件後は、アップル、LG、ヒューレット・パッカード(HP)、コダック、デル、サムスンの後塵を拝しているという。具体的には、事件前には30.6ポイントあった「ソニー」ブランドのバズスコア(関心度を示す指標)が、事件後は13.6ポイントに急落。「プレイステーション3」ブランドのバズスコアも、12.6ポイントから3.9ポイントに下落した。
一方、任天堂の「Wii」は、19.6ポイントから29.8ポイントに大きく得点を伸ばしている。