経済史に残るほどの巨額損失のイメージ回復
さらに、国際的な自己資本規制強化が進む中、普通株が増えれば、モルガンの中核的自己資本比率の向上につながる。MUFGの普通株転換について、金融業界では「実利を得るのはモルガン側」(大手行幹部)との見方が根強い。
モルガン側のメリットが目立つ今回の連携強化だが、MUFGも「三菱UFJモルガン・スタンレー証券の巨額損失のマイナスイメージが希薄化された」(別の大手行幹部)のは確かだ。ある大手証券幹部は「弱小証券なのであまり騒がれなかったが、経済史に残るほど巨額の損失だ。報道されてから発表まで時間がかかったのは、モルガンの連結対象化という好材料をぶつけて相殺したかったのでは」と推測する。
損失を出した取引は旧三菱UFJ証券が保有していたもので、MUFGは今後、「モルガンからの助言を活用してリスク管理体制を強化する」(平野副社長)考え。連結対象化による果実をMUFGも得られるのか、まずは同証券の建て直しが試金石になりそうだ。