一斉導入は節電効果に限界がある
サマータイムをめぐっては、東京都の石原慎太郎知事ら東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の知事が連名で政府に導入を求める緊急要望書を首相官邸に提出した。東電の原発事故で打撃を受けた首都圏の電力の安定供給を図るのが目的だ。要望書は「計画停電や不測の大規模停電を回避するには、効果的な対策が必要」と指摘し、サマータイム導入など9項目の対策を求めている。石原知事は「サマータイムなどできることはすぐやればよい」と訴えた。
しかし、日本全体が1時間時刻を早めるなどするサマータイムの導入は、実は節電効果のうえで限界があるという。枝野幸男官房長官は、国民が一斉に1時間を早めただけでは「(電力需要の)ピークがずれるだけにとどまる可能性がある」と指摘。「サマータイムは個別の企業や業種で影響の少ないやり方を判断いただく方が現実的で効果的だ」との認識を示している。確かに国民が一斉にサマータイムを導入したら、電力需要のピークも連動するため節電には結びつきにくい。現状では企業が分散して稼働時間をずらすなど、現在計画されているような企業の個別対応が最も効果的なのかもしれない。