「五体不満足」などの著書がある作家、乙武洋匡さん(35)がプロ野球の始球式を行った。乙武さんの挑戦する姿が、ネットで「感動した」などと話題になっている。
乙武さんは2011年5月6日、仙台市のKスタ宮城で行われた、楽天・西武戦の始球式に登場した。
「人間不可能は無いんだと思った」
先天性の障害で両手両足がない乙武さんは、電動車椅子を降りて自力でグラウンド入り。マイクを使わず「東北の皆さんに、心を込めて、投げさせていただきたいと思います」と叫んで大きく一礼し、左上腕部分とあごを使ってピンク色のボールを投げた。
ボールは大きく弧を描いて飛び、バッターボックス付近で落下。観客席からは大きな拍手と歓声が上がった。これに応えるかのように、観客席に再び礼。捕手を務めた楽天の嶋基宏選手からボールを受け取り、歩いてグラウンドを離れた。
この始球式はネットで大きな話題となり、ツイッターには「感動した」「人間不可能は無いんだと思った」「涙が止まらなかった」といった声が多数寄せられた。YouTubeにも動画がアップされ、「乙武さんの表情が凛々しくて素晴らしい」「めっちゃ練習したんだろうなぁ」などのコメントが寄せられている。
「すりむけるくらい投げ込みました(笑)」
乙武さんはこの日の夜、ツイッターで「大好きな野球を通じて、大好きな東北のために、わずかながら力を尽くせたこと、心からうれしく思います」とコメント。事前に相当な練習をしていたようで、「球場入りしてからも、左腕がすりむけるくらい投げ込みました(笑)」。スコアボードには「152km」と表示されていたという。
5月初旬から東北地方の避難所などを回っていて、7日は津波で大きな被害の出た宮城県気仙沼市に行っているということだ。