インターネット上で人気を誇る、芥川賞作家の西村賢太さん(43)がテレビ番組で、ぶっちゃけたトークを連発した。話の流れで、SMAPの稲垣吾郎さんに「センズリするか」を聞き、文学賞で候補作が落選した時は「落とした人を恨みました」、さらには「編集者は一番腹が立つ」などと言い放った。
西村さんは2011年1月、自身をモデルにした、日雇い労働をする男の孤独を描いた小説『苦役列車』で第144回・芥川賞を受賞。中学卒業後、日雇い労働で生計を立て、逮捕歴もある異色の経歴や、授賞式では「そろそろ風俗に行こうかなと思っていた」などと発言したことと相まって、ネット上では「おれたちの西村さん」と人気を呼んだ。
「文化人的な生活はしていたんですよ」
その西村さんが出演したのは、TBS系深夜のトーク番組「ゴロウ・デラックス」(2011年4月28日)。稲垣さんのほか元アナウンサーの小島慶子さんがMCをつとめている。西村さんは番組で、2本の酒を飲み、これまでの人生を振り返りながら、身の上を気さくに話した。
11歳の時、父親が性犯罪で逮捕され家を引っ越し、15歳の時には高校進学せずに日雇い労働で生計を立てていた。29歳の時には暴行事件を起こし留置場に居た経験もある。20代半ばからは、古書店の手伝いなどもしていて、本人は「文化人的な生活はしていたんですよ」と言ったあと、話はこう続いた。
「(生活は)基本的には変わんないんですけどね。やってることと言えば、人に使われて、わずかなお金を得て、家帰って酒飲んで、センズリして寝るぐらい。15歳から今までずっと変わんないんですよ」
話の流れで、稲垣さんが「(センズリは)朝しない、夜して寝るんですか?」などと質問したが、今度は西村さんが「稲垣さんはどうですか。稲垣さんはセンズリしねえわ」と笑いながらムチャぶり。これに稲垣さんは、顔を引きつらせながら、「しないですね。したことないですね」と苦笑いで切り返し、場をのがれていた。
「もう腹のたつヤツばかり。作家、編集者は」
話は小説のことにも及ぶ。西村さんは2008年にも『小銭をかぞえる』が第138回芥川賞の候補作に挙げられたことがある。落選した時のことをMCの小島さんが「落ちた時は選んだ人を恨んだりしないのか」と聞くと、「恨みます」と即答。本人に言わせれば、作品をけなされたとしても何かを言ってくれた方がいい。はじめから無視して何も言及しない人は「ものすごく恨みを持ちますね」。
また、稲垣さんが「腹がたつ人は多いか」と話をふると、苦笑混じりで「もう腹のたつヤツばかりですね。作家、編集者は。もう編集者が一番、腹が立っているんですよ」とぶっちゃけた。小島さんが「編集者は味方なのでは」と言っても、「僕には敵なんですよ。それ以前にも、ものすごく僕は編集者と仲が悪いんで。芥川賞をとったからって、あえて近づいてこないところがいやらしい。そういうのはいいから、ちゃんと来ればいいと思う」と注文をつけていた。
番組を見て、ネット書き込みには「暗い性格してそうなイメージだったが結構トークが出来る人なんだな」「芥川賞作家というよりも、その辺にいる独身のおっさんっていう感じがいいねえ」「ほんとに友達もいないダメ人間なら、稲垣吾郎を前にアルコールが入ってるとはいえあんなに堂々としてられないよ」などとあり、芥川賞作家の意外な一面を見た人も多かったようだ。