4ドアセダンから「ミニバン」への戸惑い
しかし、4ドアセダンのタクシーが一般的だったニューヨークでは、全車が「ミニバンタクシー」に統一されることへの戸惑いがあるようだ。ニューヨークのタクシー情報サイトやツイッターをのぞくと、日産「NV200」は「見た目がカッコ悪い」「(フォード製)クラウン・ビクトリアこそニューヨークのシンボル」「これからは地下鉄に乗る」「高額すぎる」と評価は散々だった。
米経済誌「フォーチュン」電子版は5月5日、「ニューヨークの『タクシー・オブ・トゥモロー』は大いに改善の余地あり」とのコラムを配信した。市当局の交通政策を批判する内容だが、筆者はその中で日産に対して「これからマスコミの激しい取材攻勢や、政治家からのおせっかいな忠告、タクシー運転手や個人事業主からの不平不満の嵐にさらされるでしょうね」と皮肉をこめてこう指摘している。座席のカバーの質や、運転席と後部座席を仕切るプラスチック製の板にも難癖をつけて、「(NV200のような)ミニバンやSUVタクシーには、よほどのことがなければ乗らない」と宣言している。
米ウォールストリートジャーナル紙(電子版)は5月3日付の記事で、日産1社の選定について大手タクシー会社から不満が出ており、また「NV200」が車いすの利用者にとって不便なつくりになっていると身体障害者の支援団体から指摘されている点を挙げた。体の不自由な乗客に対応する台数が十分にそろわなければ、米国の身体障害者法に違反する可能性もあるという。新たな「ニューヨークの顔」となるうえで、日産は改善が求められそうだ。