日産自動車のミニバンが、米ニューヨーク市のタクシーとして採用された。「イエローキャブ」と呼ばれる黄色い車体のタクシーが、2013年後半から順次日産車に切り替わる。
市当局の選考により、競合した2社の製品よりも優れた乗り心地や低燃費といった点が評価された結果だが、地元市民からは早くも「見た目がカッコ悪い」など厳しい意見も出ている。
ブルームバーグ市長絶賛「最も安全で快適」
マンハッタンを黄色のタクシーが走る光景は、ニューヨークの名物といえるほどだ。ニューヨーク市当局の要請で、タクシーの車体が黄色に統一されたのは1967年。違法営業のタクシーと区別する意味合いがあった。
現在ニューヨークでは、米フォード製の大型セダン「クラウン・ビクトリア」がイエローキャブとして最も多く使われているが、2011年内に生産中止となる。そこで市当局が中心となってタクシー会社や個人事業主、運転手らと協力して2007年、「タクシー・オブ・トゥモロー」というプロジェクトを開始。ニューヨークの次世代のタクシーを選ぼうと、日産を含む自動車メーカー各社に呼びかけ、選定作業を進めていた。
その結果選ばれたのが、日産「NV200」の1車種だ。これまでは16車種がイエローキャブとして使われていることと比べると対照的だ。最後まで争ったフォードとトルコのメーカー「カルサン」を破って独占契約を勝ち取った。日産の発表資料によると価格は1台あたり2万9000ドル(約232万円)。ニューヨーク市内には1万3000台以上のタクシーがあるため、全車が日産製に一新されれば総額で3億7700万ドル(約302億円)に達する一大プロジェクトとなる。
ニューヨークのマイケル・ブルームバーグ市長は米国時間2011年5月3日の記者発表で日産「NV200」を、「ニューヨークの歴史上最も安全で快適、便利なタクシーになる」と絶賛。市内で1日60万人が利用するタクシーの選考に当たっては、市民の声を重視したと強調した。
また日産は、同社が開発した電気自動車「リーフ」も投入して、将来ニューヨークで「電気自動車タクシー」の実現を目指す試験も実施するという。