東京電力・清水正孝社長が2011年5月4日、福島県を訪れ、福島第1原発事故について謝罪した。二本松市に役場機能を移している浪江町の馬場有町長は「はらわたが煮えくりかえる」と憤った。
その理由は、東電の対応の遅さ。清水社長が訪問したのは事故から50日以上が経ってからだったこと、事故発生から翌朝まで連絡がなく対応も遅かったことから、怒りを露わにした。住民からまくしたてられ、清水社長らが通路に土下座する場面もあった。
住民からは不満の声も挙がった。東電は、「仮払補償金」として、一世帯100万円(単身世帯75万円)を支払っているが、避難生活を送る住民からは「100万円で納得できるのか」という声も少なくない。清水社長は「あらゆる面での合理化を徹底的にこれから進めていく」と話している。
浪江町の担当者は取材に対し、「住民はもとより事業者らも困っている。なかなか自宅に帰るめどがたたないのが苦しい。仕事もありませんから。お金だけの問題ではなく生活が狂っている。学校、医療、介護など通常の生活が営めない」と訴えた。