仙台港を利用して新車を系列ディーラーに供給していた自動車メーカーのほとんどが、東日本大震災の発生により同港のモータープールなどで被災した新車の損害分を全額負担することにした。新車が輸送途中に被害を受けても自動車メーカー側に責任はないが、被災地の系列ディーラーに対する支援策として決めた。
自動車メーカー各社の2011年3月期の決算発表が相次ぐ中、この被災車両の負担分が特別損失として計上されている。
保管場所に新車が置かれた時点でディーラーの責任
東北地区への新車輸送に同港を利用して海上輸送していた主な自動車メーカーはトヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、三菱自動車、スズキ、ダイハツ工業。同港近くの関連施設まで含め、各社のモータープールや新車整備センターなどに置かれていた新車を地震発生後の津波が襲った。これによりディーラーの拠点に届く前の新車が水没や損壊、流出した。
この被害車両の台数は、ホンダが1000台以上、日産が約1000台、スズキが約2000台、ダイハツが約1500台、三菱が約400台とされる。トヨタは公表していないがホンダや日産を上回ると見られている。3月は年間で最大の新車需要期にあるため、各メーカーが東北地区のディーラーが発注した数多くの新車を同港から陸揚げしていた。
新車はディーラーが発注した分を各メーカーが生産することが基本。このため生産工場から出荷された段階でディーラーの所有物となる。通常は輸送中に損害が発生した場合、新車を運んでいる時点では輸送を請け負った物流事業者の責任となるが、ディーラーが指定したモータープールなどの保管場所に新車が置かれた時点では別となる。