計画的避難区域に指定されている地域では、1か月をめどに避難するように指示が出されているが、現地では避難先の確保が難しいことなどから、「1か月以内の避難は無理だ」と困惑する声があがっている。
政府は2011年4月22日、福島原発から半径20キロ以上にある地域のうち、事故発生から住み続けた場合、1年間の積算線量が20ミリシーベルトに達するおそれのある区域を「計画的避難区域」として設定した。
「今ここの暮らしがあり、単純な話ではない」
該当する地域は、福島県飯舘村、浪江町、葛尾村の全域、川俣町と南相馬市の一部地域で、1か月を目途に別の場所へ避難するよう指示が出されている。
これに対して、困惑する地域も出ている。飯舘村では発表を受けて、福島市周辺にあるアパートやホテルや旅館、借上アパートを確保したものの、全部で2700人分。6200人いる村民のおよそ4割にすぎず、門馬伸市副村長は5月2日、事業者らを対象とした説明会で「(1か月以内の避難は)正直言って無理だ」と発言している。
災害対策本部の担当者は、確保できたのは村から1時間以内の場所にある物件だとし、「村から遠い場所に生活の拠点を置くことはできない。自宅を心配する人もいるし、企業活動が再開し始めたところもあるからだ。政府は全国とりわけ関東圏内に物件があると言うが、今ここの暮らしがあり、単純な話ではない」と言う。
また、在宅や介護施設等で介護を受けている高齢者は、別の場所に移動することで容態が急変する例が相次いだ。「そういう意味でも1か月というのは難しい。6月末までかかるのでは」と困惑している。