外科手術しなくても好結果
これらの経験をもとに、最初のAと次のMだけで外科手術部分(R)を省いても治療成績はほとんど変わらない、と小柴さんは確信。近年、希望者には簡略な「AM療法」に変えている。1週間ほど入院するRがなくなると、すべて外来で治療できる。
小柴さんは、やや進行して周囲に転移も考えられる患者さんに対しては、約2年前から国産の高温度治療器を用いた「電磁波高温度療法」を試みている。電磁波を照射し、細胞自身に発熱させる仕組み。がん細胞の熱に対する抵抗力を弱める働きのある生薬飲み薬 (パルテノライド) を併用する。前立腺だけでなく、周辺臓器のがん組織も熱に弱くなり、摂氏43度で死滅する。これも外来で治療できる。
「この治療法が普及すれば、前立腺がんは、特別な病院へ行かないでも町の診療所で治るようになる」と、小柴さんは訴えている。
(医療ジャーナリスト・田辺功)