女性の未婚率が高い地方の大都市があることが、金融機関の調べで分かった。結婚難の独身男性は、もはや東京以外に目を向けるべきなのか。
「発表しますと、『やっぱりな』という反響が多かったです。街を歩いていても、若い人は女性の方が多いと実感していたからということですよ」
若い女性の2人に1人は独身
日本政策投資銀行九州支店(福岡市)の広報担当者は、こう明かす。
そのレポート「若年男女人口比からみえる福岡市のすがた」によると、20代後半から30代前半の女性の未婚率は、全国の19政令指定市の中で福岡がトップだった。2005年の国勢調査からピックアップしたもので、未婚率は、25~29歳で68.8%。30~34歳でも、41.0%もあった。つまり、この年代の女性は、2人に1人は独身ということになる。
また、20代人口を2010年3月末の時点で調べると、男性10人に対し女性は11人にもなった。これも政令市でトップだ。適齢期の人口が、女性に比べて男性が少ないことが未婚率を上げている可能性がある。
なぜ、福岡では、若い女性の方が多いのか。
九州支店の担当者は、女性が働く割合が多い小売り・飲食業などサービス業が福岡で盛んなことを挙げる。サービス業を中心とした第3次産業で働く人は、10年3月末でなんと政令市トップの9割ほどにも上る。逆に、男性の働く割合が多い鉄鋼・化学など製造業を中心にした第2次産業は、1割ほどに過ぎない。
福岡でサービス業が発展したわけは、古くから博多が貿易港として栄え、商人の街として形成されたことが大きいようだ。全国的にも知られる歓楽街の中洲があることも関係しているかもしれない。担当者は、この春に九州新幹線が全線開業し、駅ビルのJR博多シティもできたことから、ますますサービス業、ひいては女性も増えるとみている。
若い女性が多くなることは、就職状況からもはっきり分かる。
男性は東京、女性は福岡めざす
福岡市では、10代後半の転入・転出の割合は、男女とも同じだ。大学の数が多いため、転入の方が多くなっているが、これが20代前半になると、ガラリと変わる。
2005~09年の動向をみると、転入の割合が、女性の方が男性よりも2倍も多いのだ。
男性は、就職などのため、東京などに転出する割合が多い。これに対し、女性は、九州各県から逆に福岡に転入してくる割合が多い。つまり、男性は東京に目が向いているのに、女性は福岡に目が向いているわけだ。それが適齢期の男女がかみ合わないミスマッチを生んでいるらしい。
レポートの発表は2011年2月25日だが、朝日新聞が4月26日にその内容を報じると、ネット上で反響が広がった。
博多美人とのイメージもあるだけに、2ちゃんねるでは、「引っ越せばハーレム状態ってこと?」「よし福岡行ってくる」といった書き込みが相次いでいる。
女性の未婚率や人口比については、サービス業も多くススキノの歓楽街で知られる札幌市も、福岡に次いで高い。日本政策投資銀行九州支店では、「東京から離れたところにあり、中心都市として人口が集中するという点で、福岡と構造が似ています」と指摘する。
とすると、若い男性は、結婚チャンスを増やすためにも、こうした地方の大都市に行くべきなのか。
これについて、九州支店の担当者は、「チャンスはなきにしもあらずとは思いますが、働くところが少ないという問題があります。学生を留めておくためにも、サービス業などばかりでなく、幅広く働く場を作る必要があるでしょう」と言っている。