大阪府の橋下徹知事が、原子力発電所の新規建設や老朽原発の運転延長計画を「止めにかかる」と発言した。福島第1原発事故を受けたもので、ほかの知事らにも賛同を呼びかけた。一方、統一地方選で原子力産業との共存共栄路線を踏襲して当選した現職知事もいる。橋下知事の訴えは、どこまで浸透するのだろうか。
橋下知事は2011年4月28日、大阪市で開かれた関西広域連合委員会の会合の前、参加知事らに原発の新規建設や運転延長、後継機建設の計画を止めるための方策作りを提案した。
関西圏の知事たちは「時期尚早」が多い
4月28日の非公式な会合では、橋下知事の「新規原発認めず」などの提案については、「時期尚早」という意見が多かったという。まずはサマータイム導入の是非などエネルギー政策全般の見直しから検証すべきだとの指摘も出て、原発関連提案はこの日の正式な議題にはならなかった。橋下知事は当面、大阪府単独で方策を検討するとみられる。
前日の4月27日、原発について同様の考えを記者団に表明していた。「原発悪玉論ではない」「単純に自然エネルギーで代替できるわけではない」とした上で、「まずは原発1基を止めるには何をするべきか」と節電強化の重要性も訴えていた。
橋下知事の27日の発言については、毎日新聞(ネット版)が、「橋下・大阪府知事:『脱原発目指す』」などの見出しで、「事実上の『脱原発』を目指す考えを明らかにした」と報じた。一方、他社の記事では「脱原発」という表現は出てこないものも少なくなかった。橋下発言は、稼働中の原発については「少なくとも当面は容認」と読めるからか、受け止め方には温度差があったようだ。
原発に関する知事らの発言をめぐっては、例えば4月25日、石原慎太郎・東京都知事が、「脱原発」を訴えた保坂展人・元社民党衆院議員が世田谷区長選で初当選したことについて、「今の日本経済を支える電力の供給は(原発抜きには)できっこない」と批判、原発を容認する考えを示している。